ポンテ・ヴェッキオを抜けてどこへゆこうか逡巡する。
地図を見るとウフィッツィ美術館が近いらしい。
アルノ川沿いに歩いて向かうことに。
その道すがら通った回廊がこの写真。
ちょっとした場所に美しい建物が並ぶフィレンツェに感動する。
この回廊の中には露天商がたくさん出ていた。
有名な絵画のコピーやTシャツといった「いわゆる的商品」が多いが、そんな中に自分の作品を並べる若きアーティストもたくさんいた。
金属で作ったオブジェや仮面、木工製品、革製品と様々。
なかには相当クオリティ高いものもあって正直驚いた。
ミュージシャンになるにはまずストリートライブからはじめるのが通例だが、イタリアでは芸術家も同じ、ストリートから花開いてゆく。
昔の自分の姿とオーバーラップして懐かしく思う。
僕らAcousphereも大変な思いをしながらストリートに出たものだ。
しばらく彼らを見ながら歩いていると突然みんな荷物をまとめて逃げ出した。
イタリアンおまわりさん登場。
頭の中でダースベーダー登場のテーマ音楽がかかり、笑う。
おまわりさんは慣れたもので露天商をおっかけまわしたりしないで威風堂々と歩いてみせる。
自分たちがそこを通ることで仕事が完了することを知っている。
しかし一度逃げた人たちも数分で同じ場所に戻ってくる。
それはまさにイタチごっこ、ルーティーンの日常風景。
なんとなく滑稽で楽しい。
ふと宮崎アニメのルパンと銭形警部を思い出す。
泥棒と警察官、立場は違えども同じ世界の仲間。
そこに愛情があるんだよね。
きっと今日も愉快な追いかけっこがフィレンツェで繰り返されているに違いない。
ちょっとなんだかうれしい。