イタリア旅行記(28) アッシジの日暮れ

サンタ・キアーラ教会を後にして坂道を下る。
よく歩いたからさすがに疲れた。

坂道でアッシジについたばかりの観光客の方とすれ違う。
もうほとんど夕暮れ、あと1時間もしないうちに真っ暗だろう。
自分もローマの出発時間が遅かったならそうなっていたかもしれない。
やはり無理して早起きしたのは正解だった。

旅において大事なのは時間の使い方。
事前にしっかり作り込んでおくことが大切だが、現地についてからのひらめきや変更なども大切だ。

夕暮れの道を下りながらホテルへ。
途中カフェに立ち寄るがエスプレッソもケーキもまあまあの味。
トイレへの通路が鏡ばりで不気味だったのをよく覚えている。

ホテルへ到着しテラスでお茶をすることにする。
これも両親への土産話になるだろう。

肌寒い空の下、アッシジを見下ろしながらお茶をする。
眼下の教会から鐘の音が聞こえてきた。
ちょうど夕方の5時。一日の終わりを告げる鐘なんだろう。

3台の鐘が「ド・レ・メ」の音にチューニングされている。
Root、major2nd、minor3rdという密集和声の鐘の音色はまさに荘厳。
不協和音と呼ぶのかもしれないが、みごとなハーモニーで鳴っている。
音楽は不協和音こそが美しい響きを作っている。
何世紀も前につくられた鐘が不協和音のminor9thのコードで鳴っていることに感動。
一日の終わりが最上の瞬間になる音に出会えて、身のうちが震えるほど感動した。

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