イタリア旅行記(4) トレビの泉発見

いくつかの路地を抜けると突然目の前にトレビの泉。
こんな場所にこんな風にあるのかあと感慨深く、しばし呆然。
世界遺産がこれでもかという具合に飾られ、守られているのではなく、人々の生活の現場にそのままある感じ。
やっぱりすごいなローマ、イタリア。

その全体像もすごいけどひとつひとつの彫刻が素晴らしい。
芸術品を集めて作った芸術品。
しかもそれがとある建物、どうやら昔は宮殿だったらしいが、それの壁面にドカンとくっついている。
そこへローマ水道からの水が怒濤のように流れ込んでくる。
今は循環型のリサイクルシステムの水道なんだそうだが、昔は本物のローマ水道の水が流れていた。そう思うとこの芸術の完成にどれだけの時間と情熱を注いだのか、想像する事もできない。

僕も音楽家、芸術作品を作るという意味では同じ穴のムジナである。
僕個人にはトレビの泉を作るような芸当は到底できないが、じゃあ音楽という分野でここまで細やかな仕事、そして悠久なる時間を使って創作をしたことがあるだろうか。
これまで以上の忍耐強い仕事が自分の仕事にも必要だと認識させられた。
もしも10年がかりで1曲を作る事ができたらいったいどんなすごいクオリティの音楽に到達するのだろうか。

便利至上主義で発展してきた現代社会、音楽などの芸術の分野でも便利で簡単な作り方が蔓延している。
芸術の本質は「手間」なんだと知る。
よけいな手間をかけ、あえて効率の悪い作業を丁寧に行う。
そうやってしか到達できない手仕事の精密さ、クオリティ。
それこそが音楽に必要なものなんだろう。
そういえばギタールシアーTaku Sakashtaさんも同じ事言ってたなあ。

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