#イタリア旅行記(42) さらばフィレンツェ

フィレンツェ駅へ足早に向かう。

日が低くなってきて建物のむこうに夕日が落ちてゆくのがわかる。
この時間になると建物の頭の上に後光が浮かび上がる。
この光の感じがとても好きで、つい写真の枚数が多くなる。

この時点で600枚近く写真をとってきた。
デジカメのおかげで枚数を気にする事なくたくさん撮影できて、旅の楽しさが何倍にも膨らんでいる。
イタリア旅行まだ3日目だというのに600枚かあ。
今度旅行にでるときはメモリーカードをもう一枚持たなくては。

ここまでトラブルらしいトラブルもなく、危ない目にもあわないで旅行は順調に進んでいる。
イタリアの雰囲気にも慣れてきた。
ようやく肩の力が抜けて観光できるようになってきたかもしれない。
でも油断は禁物、気を引き締めて完遂しようと思う。
この後電車にのれば最終目的地ヴェネチアだ。

いつの海外旅行でもそうだが、慣れてきた頃に最後の場所になる。
そして最後に訪れた街ではのびのびと楽しむ事ができて、一番の思い出になる。
中学のとき母と訪れたアメリカを思い出す。
ワシントンDC、ニューヨーク、シカゴと緊張しっぱなしであまり覚えていないが、最後のボストンだけは鮮明に覚えている。
大好きになった街ボストンにその後音楽留学しBerklee音楽院に通う事になろうとは。
なにか運命のようなものを感じずにはいられない。
明日訪れるヴェネチアにもそんな予感がする。

フィレンツェ駅に到着。
乗るべき電車もやってきている。
さらばフィレンツェ!

#イタリア旅行記(41) フィレンツェのカフェ

もちろんドォーモは今日も観光客で満杯だ。
いまさら僕が並んでも中は見れないし、列車までの時間もない。
ならばこの雄大なでっかいドォーモを見上げながら一杯といきたい。

広場に面したところに目をやりBarを探す。
ありました「スクーデリ」という名前のBar。
お店の前に10卓ほどのテーブルが並び気持ちが良さそう。
さっそく席についてエスプレッソ・マキアートを頼む。
エスプレッソにミルクが入ったもので、この旅で病みつきになる。
しかもこのお店のが一番美味だった。
コーヒー豆買ってくるべきでしたなあ。

広場でのんびりコーヒーを飲みながらふと目をやると、広場に面した建物に住んでる人々が自宅のテラスでランチをしてる。
うらやましいけど、自分のうちからドォーモが毎日見える生活ってどんな感じなんだろう?
毎日美しいものを見れてうれしいのか、観光客が朝からうるさかったりして迷惑なのか。
いずれにせよ、それを承知で住むのだからやっぱり楽しいんだろうね。
いいな。

Barにて30分くらいなごんで身体を休める。
さあ、もう駅へむかわなくてはならない。
いよいよフィレンツェともお別れだ。

時刻表の読み間違いからはじまった夢のようなフィレンツェ観光。
僕にたくさんの感動とこれからの僕らにとって有意義な価値観を垣間見せてくれた。
一生忘れられない景色を目に焼き付けることができた。

#イタリア旅行記(40) フィレンツェ・ドォーモ

ウフィッツィ美術館を過ぎてまたアルノ川沿いをポンテ・ヴェッキオ方面に歩く。
ヴェネツィア往きの列車の発車時刻まで残り時間はあと半分というところ。
地球の歩き方をみればまだまだ面白そうなところがいっぱいあるが、さすがに訪れて見学する時間はないだろう。

それならばコーヒー好きの行き先はBarに決まっている。
フィレンツェの美しい景色を眺めながらエスプレッソをいただく。
そして歩き疲れた身体をしばし休めてあげる幸せ。
そのお店を探してしばし川沿いを歩くがなかなか見つからない。
仕方ないのでドォーモの方面に向かった。
まあ観光地だし、必ず飲食店があるはずだ。

大通り、裏通りをちょこまかと抜けて歩いていると異様に賑わう広場に出た。
おお、日本人観光客の一団!
ツアーガイドさんが発する日本語が懐かしい響き。

世界中の観光客が集まって地面が見えないくらいの広場の上にドォーモのまあるいお屋根がそびえている。
はじめて見たけど第一印象は「でっかい」。
荘厳さとか迫力という言葉では言い表せない規格外の大きさに、心の中では「でっかい」を連呼してしまう。

朱色の屋根がほどよく日に焼けていい味わいを出している。
屋根のオレンジ色が瑠璃色の空に対比して目に心地いい。
もしカメラがない世代に生きていたなら、この感動を持ち帰るために絵を描いたろう。
素晴らしい絵画も、僕が今感じている気持ちからうまれたのかもしれない。
一度キャンバスを持って出かけてみるのもいいのかな、なんて気持ちが飛来する。

#イタリア旅行記(39) ウフィッツィ美術館

アルノ川沿いを歩く事3分、左手にローマの神殿風の柱が見えてきた。
ここかあウフィッツィ美術館は。
イタリアのルネッサンスをささえたメディチ家の集めた美術品の数々がおさめられている場所であり、イタリアで最も美術品の所蔵品が多い美術館。
いやあ、さぞかしすごいのだろうなあ。

ボッティチェッリやミケランジェロ、レオナルド・ダ・ヴィンチの作品の数々。
そういえばヴァチカン美術館でダ・ヴィンチの習作をひとつだけ見たけれど、そのクオリティの高さに目が釘付けになったのを思いだす。
でも未だにちゃんとした作品を見てはいない。
時間があれば絶対に見学したいウフィッツィだが、急遽空いた4?5時間なので難しい。

一応と思って入り口の方へ向かうがやっぱり長蛇の列。うむむ。
オフシーズンなのにこれかあ、すごい人気。
まあ今から入っても全ては見られないだろうし、またいつか来る機会があるのかもしれない。
その為に今回は見れないんだなといい聞かせながら建物探訪に切り替える。

同じデザインの建物が双子のように向かい合っている。
土台は世界最初のコンクリート建築だったというだけあって重厚感と迫力がある。
その建物に挟まれて日が射してこない中庭だが、少年たちがサッカーボールを蹴っている。
その光景がなんとも良い。
子供たちのたくましさが伝わってくる。

また子供たちの遊びを許している美術館の人々の懐の深さを思うと、やはり文化や夢を育むのは周囲の理解と愛情なんだなと思う。
デルピエロもバティストゥータもこうやってイタリア文化に育まれて生まれた名選手なんだね。
またまたいいものを見せてもらって、いい気持ちになることができた。
ありがとうウフィツィ。
また会いにくるからね。

#イタリア旅行記(38) ポンテ・ヴェッキオのおまわりさん

ポンテ・ヴェッキオを抜けてどこへゆこうか逡巡する。
地図を見るとウフィッツィ美術館が近いらしい。
アルノ川沿いに歩いて向かうことに。

その道すがら通った回廊がこの写真。
ちょっとした場所に美しい建物が並ぶフィレンツェに感動する。

この回廊の中には露天商がたくさん出ていた。
有名な絵画のコピーやTシャツといった「いわゆる的商品」が多いが、そんな中に自分の作品を並べる若きアーティストもたくさんいた。
金属で作ったオブジェや仮面、木工製品、革製品と様々。
なかには相当クオリティ高いものもあって正直驚いた。

ミュージシャンになるにはまずストリートライブからはじめるのが通例だが、イタリアでは芸術家も同じ、ストリートから花開いてゆく。
昔の自分の姿とオーバーラップして懐かしく思う。
僕らAcousphereも大変な思いをしながらストリートに出たものだ。

しばらく彼らを見ながら歩いていると突然みんな荷物をまとめて逃げ出した。
イタリアンおまわりさん登場。
頭の中でダースベーダー登場のテーマ音楽がかかり、笑う。

おまわりさんは慣れたもので露天商をおっかけまわしたりしないで威風堂々と歩いてみせる。
自分たちがそこを通ることで仕事が完了することを知っている。
しかし一度逃げた人たちも数分で同じ場所に戻ってくる。
それはまさにイタチごっこ、ルーティーンの日常風景。
なんとなく滑稽で楽しい。

ふと宮崎アニメのルパンと銭形警部を思い出す。
泥棒と警察官、立場は違えども同じ世界の仲間。
そこに愛情があるんだよね。
きっと今日も愉快な追いかけっこがフィレンツェで繰り返されているに違いない。
ちょっとなんだかうれしい。

#イタリア旅行記(37) ポンテ・ヴェッキオの入り口

アルノ川にかかるポンテ・ヴェッキオ前の橋をわたり裏通りを抜ける。

途中こちらの地方で有名な紙を専門に販売してる店の前を通る。
繊細な紙がショーケースに並べられているが、誰かに説明されないとその価値は見抜けない。
素晴らしいものを理解できるようになるためには勉強が必要なんだなと思う。

薄暗い裏道を抜けるとちょっとした広場に突き当たる。
ポンテ・ヴェッキオの付け根に到着。
世界中の観光客が思い思いに通り抜けてゆき活気にあふれている。

メディチ家がつかったと思われる回廊がポンテ・ヴェッキオとつながっている。
橋の付け根のBarで恒例となったジェラートをほおばる。
2フレーバーで注文したが言葉が通じなかった結果1フレーバーに。
しかも山盛り。
ジェラートを必死に食べ、いよいよポンテ・ヴェッキオを渡る。

その昔、貴金属の交易に使われていた橋だったとものの本に書いてあったように記憶してる。
確かに橋の両サイドにたくさんの貴金属店が出店してる。
目に入ってくる色は金色が多い。
やはり貴金属の王様は金なのだね。

しかし、眼下に川を望みながら橋の上に住まう気持ちってどんなだろう。
一度でいいからそんな光景を楽しんでみたいと思ったので、カフェらしき店を探すがみつからず。
人が集まるような施設はさすがに作れないってことでしょうか。
カフェはなかったけれど、フィレンツェで一番訪れたい場所を満喫したのだった。

人気の投稿